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インタビュー:阿部遼さん




-プロフィール-


沖縄旅行の紅型体験がきっかけで自己流で型染の制作を始まる。

このころは染色道具店にやり方を聞きながら作っていた。

後に型絵染作家の岩井楠香子先生の所へ弟子入り、その後沖縄へ渡る。

沖縄では紅型組合の後継者育成研修や工芸振興センターの高度工芸技術者養成を経て独立、

工房名は「紅型工房あしび」とする。

紅型の大切なことを金城昌太郎先生に学ぶ。

植物観察を幼少期から好み、図案も植物のものが多い。緑色が好き。



‐入選・受賞歴‐


・全国染織作品展

奨励賞(2014、2018年)

入選(2016、2021年)


・新匠工芸展

入選(2015年)


・西部伝統工芸展

入選(2017、2018年)


・日本伝統工芸展

入選(2021年)




◆紅型制作時に大事にしていること、

紅型で表現したいこと、自身の紅型の推し魅力

紅型の制作時に大事にしていることは、図案づくりです。

図案を描く時に、作りたいモチーフの特徴をいかに正確に捉えるかが大切だと思っています。

私は植物のモチーフが多いのですが、その植物の特徴をしっかりと捉えないと別の植物に見えてしまうことがあるので、葉っぱの形

(丸いのか、ギザギザなのか等)葉脈の形や規則性(一枚づつなのか交互なのか等)などの細かいディテールに気を使います。

規則性や細かいディテールにこだわって初めて図案として成立すると思っています。これは、昆虫や魚類、鳥類、

人物などのあらゆる図案の対象になるものに当てはまることだと思います。

 自身の描く図案については対象をじっくりする観察する必要があると思いますが、配色(色づくり、色の配置)にかんしては紅型という特徴から自由度が高いと考えています。

要するに、図案は「繊細」なディテールを大切にすること、配色は「大まか」に全体的なバランスを考えて色を自由に配色をすることが大切だと思っています。

「図案と色」においては対照的な考え方となっていますが、その中で自分なりの色(作家一人ひとり違う色)で色を染めていくことが紅型の魅力だと思います。






◆紅型の工程で一番好きな作業


型彫りの作業が一番好きです。

型紙を持っていけばどこでも作業できることが魅力かも。

色さし等は工房でしかできませんが、型彫りは場所をそこまで選ばないので、好きな場所でリラックスしながら彫ります。





◆紅型を通して得られた喜びやエピソード


 紅型を通じてできた仲間と色々な経験ができたことが一番の喜びかも知れません。

紅型の研修でできた仲間、仕事をする中でできた仲間、これらの出会いがあったから自分はこの仕事を続けられていると思います。

この仲間というのは、先輩や後輩、同期などのあらゆる世代の仲間を意味します。

年代を越えて「紅型」というフィルターを通してできた仲間は、年齢に左右されずに公平にアドバイスをしてくれます。

紅型は一人で作業を貫徹できます。図案から型紙を作り、色差し経て完成するまで独りぼっちです。

要するに毎日が孤独との闘いです。そんな中で孤立しないように、仲間と話し合ったりすることが肝心なのです。

その中でもらったアドバイスは年下でも大先輩でも関係はなく、人として温かみを感じるものであれば心の支えになり、

作家としても一人の人間としても厚みも増すのだと思います。



◆紅型の面白さや難しさ

 紅型の配色(色塗り)の特徴としては、発色の強い色を自由に組み合わせることだと思っています。

具体的にいうと、ピンク色の蝶がいたり、紫色の鳥がいたり、実際には存在しない色合いに染めることに何の躊躇もないのが紅型の特徴であるといえます。

一見すると、これらの配色をコントロールすることは難しいですが、紅型ではある程度の色の規則性があるので(例えば、黄色には赤の隈取りをすることが多い)、

無秩序に配色を決めているわけではありません。

染色家の鎌倉芳太郎先生は、紅型の配色は宝石を当てはめるようにして決めているのではないかという考察を述べたそうです。

好きな色を自由な場所に染めることを優先しているという意味でもあり、私も同感です。

ある程度の規則性と宝石を当てはめるような自由な発想の配色の上に成り立つ、自分ならではの色(作家一人ひとり作る色は異なること)

を生み出すことこそが紅型の面白さだし、難しさでもあると思います。










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